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技術士の平均年収は、約670万円です。
日本の給与所得者全体の平均が約460万円ですから、200万円以上高い水準にあります。
ただし、この数字には注意点が2つあります。
ひとつは、これが2019年(令和元年)時点の統計だということ。
もうひとつは、技術士を取得すれば自動的にこの水準になるわけではないということです。
実際、「技術士に合格したのに給与明細の数字が変わらなかった」という声は珍しくありません。
この記事では、公的統計で確認できる技術士の年収水準を整理したうえで、資格手当の相場、そして「同じ技術士でも年収に差がつく理由」まで踏み込んで解説します。
発注者支援業務の現場で技術士がどう評価されているかという視点からお伝えします。
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記事では伝えきれない、技術士試験の勉強方法やキャリア戦略などを、動画でさらに詳しく解説しています。ぜひ、こちらもご覧ください。
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技術士の年収を調べると、サイトによって600万円台から700万円台までばらつきがあります。
これは各サイトが引用しているデータの出典と年次が異なるためです。
ここではまず、公的統計で確認できる数字とその前提条件を整理します。
平均値と企業規模別の2つの角度から見ていきましょう。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の職種別賃金表(2019年)によると、技術士の平均年収は約670万円です。
国税庁「民間給与実態統計調査」による給与所得者全体の平均年収と比較すると、次のようになります。
| 区分 | 平均年収 | 全体平均との差 |
|---|---|---|
| 技術士 | 約670万円 | +約210万円 |
| 給与所得者全体 | 約460万円 | - |
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」職種別賃金表(2019年)/国税庁「民間給与実態統計調査」
なお、ここで年次をはっきり書いているのには理由があります。
賃金構造基本統計調査は2020年(令和2年)調査から職種分類が変更され、「技術士」という職種区分そのものが廃止されました。
現在の職種小分類にあるのは「建築技術者」「土木技術者」「測量技術者」などで、技術士という括りでの集計は行われていません。
つまり、技術士に限定した公的な年収データは2019年が最後です。
技術士の年収を調べる際は、その数字がいつ時点のものなのかをあわせて確認しておくと、実態とのズレを把握しやすくなります。
同じ2019年の調査では、企業規模による差が明確に出ています。
| 企業規模 | 平均年収 | 大企業との差 |
|---|---|---|
| 大企業(1,000人以上) | 約752万円 | - |
| 中企業(100〜999人) | 約669万円 | ▲約83万円 |
| 小企業(10〜99人) | 約606万円 | ▲約146万円 |
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2019年)
ただし「大企業が有利」と単純には言い切れません。
中小の建設コンサルタントでは技術士の希少性が高く、早期に管理技術者を任されたり、資格手当が手厚かったりするケースがあるためです。
後述するとおり、規模より資格を活かす案件を持っているかどうかの方が年収への影響は大きくなります。
ここで、多くの方が疑問に思う点に触れておきます。
統計では670万円とされる一方、求人サイトの集計では技術士関連の仕事の平均年収を446万円(求人ボックス、2026年1月時点)としています。
200万円以上の開きです。
これは、両者が別のものを測っているためです。
さらに求人サイトの集計は「技術士歓迎」「技術士補」など周辺求人まで含むため、技術士本人の水準より低く出やすい性質があります。
実務的には、求人票の提示レンジは上限側が自分の交渉着地点になり得ると考えるのが現実的です。
技術士が必須要件の案件であれば、提示レンジの上限やそれ以上での着地も十分あり得ます。
年収を確実に押し上げるのが、毎月支給される資格手当です。
基本給の改定と違い、取得した時点から金額が固定で乗ります。
そして手当の有無は、その会社が技術士をどう評価しているかを映す鏡でもあります。
ここでは相場と、年収への具体的なインパクトを確認しておきましょう。
公開情報や現場で確認できる支給例は次のとおりです。
| 水準 | 月額 | 年額換算 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 一般的な水準 | 月2〜3万円 | 24〜36万円 | 最も多い価格帯 |
| 手厚い水準 | 月3〜5万円 | 36〜60万円 | 建設コンサルタントに多い |
| 支給なし | 0円 | 0円 | 技術士を要する案件がない企業 |
当社(新建設コンサルタント)でも、技術士(建設部門)の保有者には月3万円の資格手当を支給しています。
あわせて、技術士第一次試験・第二次試験の受験費用も会社負担としています。
※本項の支給内容は、YouTube動画「【技術士の給与】技術士になったのに昇給なし…その理由と解決策を徹底解説」でお伝えした内容にもとづいています。
月3万円の手当があれば、それだけで年間36万円。
月5万円なら年間60万円です。
昇給や昇格の効果とは別に、確実に上乗せされる金額です。
仮に30歳で取得して定年まで勤めた場合、月3万円なら生涯で1,000万円を超える差になります。
手当の有無は「毎月数万円の違い」ではなく、キャリア全体では桁の違う差になると考えてください。
そして重要なのは、この手当があるかどうかが、その会社が技術士をどう評価しているかの最もわかりやすい指標だという点です。
「難関試験を突破したのに、名刺に肩書きが増えただけだった」——これは個人の能力の問題ではありません。
会社側に資格を活かす器がないというだけです。
どれほど切れ味の鋭い刃物でも、使う場がなければ飾りになります。
技術士は高度な技術的判断、第三者への説明責任、審査の場において信頼を担保する資格です。
裏を返せば、会社がそうした案件を受注していなければ、資格を発揮する機会そのものが生まれません。
前述のとおり、月数万円の手当があるかどうかが第一の指標です。
あわせて受験費用や講習費用を会社が負担しているかも確認してください。
手当ゼロ・支援なしであれば、資格の価値が理解されていない可能性が高いといえます。
技術士取得者が管理技術者や照査技術者として配置されているか、プロジェクトの統括を任されているか。
合格しても担当業務が一切変わらない環境では、年収も変わりません。
技術士の強みが最大限に出るのは、次のような業務です。
いずれも最終的な判断能力と論理的な説明能力が問われる仕事です。
技術士試験で鍛えた論文作成力や口頭試験での対応力は、そのままこの領域の実務能力になります。
逆に、これら以外の業務ばかりであれば、環境を変えることを検討する材料になります。
▶この記事では技術士の年収水準と評価されやすい業務を整理していますが、「自分の経歴で発注者支援業務に移った場合の待遇を具体的に知りたい」という方は、転職支援サービスを活用するのも有効な方法です。建設業界に詳しいプロに相談しながら、あなたの資格と経験に合った働き方の見通しを整理できます。
技術士の年収が高いという統計結果には、明確な理由があります。
単に「難しい資格だから」ではありません。
公共事業の入札制度そのものが、技術士の価値を金額に変換する構造になっているのです。
この仕組みを理解しておくと、どの会社を選べば資格が収入に結びつくのかが見えてきます。
国土交通省やNEXCO、自治体のインフラ案件では、入札の条件として「管理技術者または照査技術者に技術士を配置すること」が指定されているケースが数多くあります。
こうした案件では、会社が仕事を受注するためにあなたという個人の名前が必要になります。
有資格者を配置できなければ、その案件には入札すらできません。
ただし、発注者支援業務のすべてで技術士が必須というわけではありません。業務の種類や規模によっては、RCCMや1級土木施工管理技士などが管理技術者・担当技術者の要件として認められる案件もあります。技術士は「入札・受注の場面で最も高く評価される資格のひとつ」と捉えるのが実態に近いといえます。
さらに決定的なのが、配置技術者の変更が原則として認められない点です。
入札時にあなたの名前を管理技術者として登録して落札した場合、病気などのよほどの事情がない限り、業務完了まで技術者を交代することはできません。
つまり、その会社にとってあなたは、
という三重の意味で手放せない人材になります。
数億円規模の案件の受注可否が個人に紐づくのですから、待遇や交渉力が高くなるのは当然の帰結です。
統計上の「技術士の平均年収670万円」という数字の背景には、こうした制度的な裏付けがあります。
技術士が評価される会社とは、この構造の中で仕事をしている会社のことだと考えると、見極めはぐっとしやすくなるはずです。
「資格の価値はわかったが、もう40代後半だ」と考える方もいるかもしれません。
しかし建設業界、とくに技術士が担う領域では、この年齢層こそが主力です。
年齢を理由に選択肢を狭める必要はありません。
理由は、評価されるのが体力ではなく経験の蓄積と判断力だからです。
過去にどのような工事を経験し、どのようなトラブルをどう解決してきたか。
その蓄積がそのまま技術力の評価につながります。
日本技術士会によれば、令和6年3月末時点の技術士登録者は約10万人、うち約45%が建設部門です。
60代で現役として活躍している技術士も多く、業界の高齢化を踏まえれば、その需要は今後さらに高まると考えられます。
一方で注意点もあります。
転職回数が極端に多い場合は、面接で不利に働くことがあります。
腰を据えて長く働ける環境かどうかを、応募前の問い合わせ段階で見極めておくことが大切です。
在職中であっても、まずは情報収集として問い合わせるだけならリスクはありません。
現在の経歴でどの程度の待遇が見込めるか、どのような案件に関われるかを確認するところから始めてみてください。
最後に、技術士の年収について検索されることの多い疑問をまとめました。
データの読み方から資格手当の実務、年齢による影響までを簡潔に整理しています。
約670万円は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」職種別賃金表(2019年)による技術士の平均値です。
現在その職に就いている方の実際の年収を集計したもので、役職者や勤続年数の長い層を含みます。
なお、2020年調査以降は「技術士」という職種区分が廃止されているため、これが技術士に限定した最後の公的データとなっています。
月2〜3万円が最も一般的な水準です。
建設コンサルタントでは月3〜5万円の例もあります。
支給開始は技術士登録の完了後とする企業が多く、試験合格だけでは対象外となる場合があるため、登録手続きは早めに行うことをおすすめします。
上がりません。
資格手当の制度がなく、技術士の配置が求められる案件も扱っていない会社では、取得しても待遇が変わらないことがあります。
年収に反映されるかどうかは、資格そのものより会社が持つ案件の質と評価制度に左右されます。
国土交通省やNEXCOの案件では、入札条件として管理技術者・照査技術者への技術士配置が指定されることが多く、資格が受注に直結します。業務によってはRCCMなど他資格が認められる案件もありますが、技術士は評価が最も高い資格のひとつです。
配置技術者は業務完了まで交代できないため、代替の効かない人材として待遇面で優遇されやすい環境です。
可能です。
技術士が担う判断業務やマネジメントの領域では、経験の蓄積が最も評価されます。
建設業界では60代の現役技術者も多く、40代・50代は十分に主力の年齢層です。
技術士の年収について、要点を整理します。
技術士試験という高い壁を越えたことには、それに見合う価値があります。
もし今の環境がその価値を評価していないのであれば、評価される場所へ移ることは逃げではなく適正配置です。
まずは自分の市場価値を知るところから始めてみてください。
この記事は、YouTube動画をもとに内容をまとめたものです。
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