DX時代の発注者支援を担う!施工管理が磨くべき「3つの新スキル」

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2025-10-15

DX時代の発注者支援を担う!施工管理が磨くべき「3つの新スキル」
「現場での経験はあるけれど、AIやデジタル技術って難しそう…」
建設業界のプロフェッショナルである施工管理技士の皆さん、そう思っていませんか?国土交通省が主導するインフラ分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、私たちが働く現場を、そして発注者支援業務の役割を根本から変えようとしています。

かつては大量の紙図面を携行し、経験と勘に頼ってきた現場ですが、今は3次元データ、クラウド、AIが主役の時代です。特に公共事業の発注者(国や自治体など)をサポートする発注者支援業務では、従来の現場管理能力に加え、デジタルデータを取り扱い、活用し、調整する「新スキル」が必須となりました。

本記事では、建築関連の知識が全くない新入社員の方でも理解できるよう、デジタル化が進む建設現場において、施工管理技士がその豊富な現場経験を「最強の武器」としつつ、いかにしてAI/DX時代の「情報統合者」へと進化すべきか、その具体的な新スキルとキャリア戦略を解説します。
BIM、CIMの文字を携えて笑顔の施工管理技士

建設業界が迎える「不可逆的なデジタル変革(DX)」の最前線

国土交通省が推進するインフラ分野のDXとi-Construction

建設業界は今、アナログな手法から、デジタル技術を全面的に活用する新しいステージへと移行しています。この変革を推進しているのが、国土交通省が2016年から進める「i-Construction」であり、2020年以降はさらに「インフラ分野のDX」として深化しています。
この取り組みの最大の目的は、建設生産プロセス全体に情報通信技術(ICT)を導入することで、生産性を抜本的に向上させることです。

このDX推進の象徴こそが、BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management)の原則適用です。
2023年度からは、すべての詳細設計および工事において、BIM/CIMが原則適用される方針が打ち出されました。BIM/CIMとは、3次元の形状情報(3次元モデル)に、構造物の名称、寸法、数量、物性などの情報を付与したモデルを構築し、これを事業全体で連携・活用・管理するという概念です。

発注者支援業務における役割の進化:データマネージャーへの転身

発注者支援業務とは、国土交通省や地方自治体などの公共事業の発注者が本来行うべき業務(工事監督支援業務、積算技術業務、技術審査業務など)を代行または補助する業務です。この業務は、民間企業の立場にありながら、公共事業の品質と進行を支える重要なポジションとなります。

BIM/CIMの原則適用により、現場で求められる情報は、図面、写真、出来形データといった全てのデジタルデータへと移行します。これにより、発注者支援業務の担当者の役割も変化しています。従来の工事監督の補助という役割に留まらず、プロジェクト全体を俯瞰し、デジタルデータを用いて最適な発注を考え、情報を統合する「データマネージャー」や「情報統合者」的な役割へと進化しているのです。
発注者支援業務の具体的な内容については、こちらの記事で詳しく解説しています(発注者支援業務とは? 初心者でもわかりやすい徹底解説)。
3D画像を扱う施工管理技士

DX時代の発注者支援で必須となる「3つの新スキル」

豊富な施工管理経験を持つ技術者が、デジタル化された発注者支援の現場で能力を最大限に発揮するためには、従来の現場力に加え、デジタル分野の新しいスキルを習得することが不可欠です。これらのスキルは、建設業界の未来を左右する要素となります。

1.BIM/CIMの理解とデータ作成・活用スキル

BIM/CIM導入の最大の目的は、3次元形状の可視化による関係者間の相互理解の促進と、機械判読可能なデータ活用による生産性の向上です。
  • 3次元モデルの構造理解と活用: BIM/CIMモデルは、3次元モデル自体に加えて、部材の名称や数量、強度などの属性情報、そして2次元図面などの参照資料の組み合わせで構成されます。発注者支援側は、このモデルを正確に読み解き、鉄筋干渉チェックや仮設工法の妥当性検討を行うことで、後工程での手戻り(手直し)を未然に防ぐ「フロントローディング」を支援する能力が求められます。
  • 標準ファイル形式の対応: デジタルデータとして納品される成果品には、統一された標準形式の知識が必要です。地形モデルや線形モデル、土工形状モデルにはJ-LandXML形式が、構造物モデルにはIFC形式といった標準ファイル形式での納品が定められています。発注者支援業務の担当者は、これらのファイル形式や、文書・モデルデータを格納する「BIMCIM」フォルダの構成を正確に管理・照査する能力が必要です。

2.電子納品・データ整理・品質管理スキル

デジタル成果品は、後工程での維持管理や再活用を前提に作成されます。そのため、施工管理技士には、成果品が公共事業の規定に則って正確に整理されているかを確認する能力が求められます。

発注者支援業務で作成される成果品には、「BIM/CIM実施計画書」や「BIM/CIM実施報告書」といった文書も必須で含まれます。また、BIM/CIMモデルの引き継ぎ時には、データ活用時の留意点や設計意図を後工程に確実に伝達するための「3次元モデル作成引継書シート」などの文書確認が非常に重要になります。

3.コミュニケーションとデータ連携調整力

発注者支援業務は、発注者(行政)と施工業者(建設会社)の間に入り、円滑な工事運営を支援する調整役です。DX時代においては、この調整をデジタル環境を介して行う能力が不可欠となります。

大容量の3次元データを円滑に共有・蓄積するため、情報共有システム(ASP)や高速ネットワークが整備され活用されています。発注者支援の担当者は、これらのデジタル環境を使いこなし、発注者・施工者・コンサルタント間でデータを適切に共有し、活用のための調整を行う能力が求められます。また、監督や検査の分野では、リモート技術(遠隔臨場など)の適用が増えているため、技術者はデジタルツールを介した情報共有やコミュニケーションに習熟する必要があります。
3つのスキルについて考える施工管理の女性

現場効率を劇的に高めるICT技術の最前線と未来像

DX推進は、書類のデジタル化だけでなく、現場の作業効率そのものを変えています。発注者支援業務の担当者として、現場で導入される最新技術の知識は、提出される成果品や施工計画の妥当性を審査する上で必須となります。

ICT技術による測量・出来形管理の革新

建設業界では、ドローンや3DスキャナーといったICT(情報通信技術)が標準的な道具となりつつあります。
  • 3次元測量と出来形確認: ドローン(UAV写真測量)を活用した測量は、広範囲を短時間で計測可能にし、従来の手法と比較して測量作業の人工を約4割削減する効果が確認されています。また、3Dレーザースキャナやスマートフォンアプリを用いた高精度な3次元計測技術が、出来形管理の効率化・省人化に大きく寄与しています。これらの技術を理解することで、発注者支援側は、施工者が納品する3次元出来形データが正確であるかを確認できます。
  • ICT施工の原則化: 国土交通省の直轄土木工事では、ICT施工の実施率が増加しており、特に実施率が高い「ICT土工」および「ICT浚渫工(河川)」については、2025年度からICT施工が原則化される予定です。これにより、建設機械を通じて稼働時間や位置情報などの施工データが徹底的に取得されるようになります。
施工管理に必要な様々な道具や技術トレンドについては、こちらの記事もご参照ください。

i-Construction 2.0が目指す建設現場のオートメーション化

国土交通省は、さらなる生産性向上を目指し、「i-Construction 2.0」を推進しています。その目標は、2040年度までに少なくとも3割の省人化、すなわち生産性1.5倍の実現です。

この未来像を実現するための柱の一つが「施工管理のオートメーション化」です。
具体的には、BIM/CIMモデルを用いた4Dモデル(3次元モデルに時間軸を加えたもの)構築による施工シミュレーションや、AR・VRを活用した現場への設計情報投影により、手戻りやミスの防止を図る取り組みが進められます。

発注者支援の技術者は、このオートメーション化されたプロセスの成果が、設計意図通りにデータとして納品されているかを確認・管理する「技術的参謀」としての役割を担うことになります。
ドローンを使用した測量を行う発注者支援の業務

デジタルスキルを活かすキャリアの土台と上位戦略

AI/DX時代において、あなたの豊富な現場経験と新しいデジタルスキルを最大限に活かすためには、その能力を客観的に証明する「資格」が不可欠です。

施工管理技士資格がキャリアの土台を固める理由

施工管理技士資格は、発注者支援業務に挑戦し、キャリアを加速させるための「土台」となります。この資格は、土木工事全般における施工計画、安全・品質管理、工程管理を統括できる国家資格であり、建設業界における技術者としての信頼性を証明します。

発注者支援業務においては、技術士やRCCM(シビルコンサルティングマネージャー)などと並び、この資格が要件として求められることが一般的です。資格を持つことで、大規模な公共事業において監理技術者や主任技術者として配置されるための法的要件を満たせるようになり、携われる工事の規模や責任範囲が飛躍的に拡大します。

施工管理技士資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

さらなる高みへ導く上位資格とスキル戦略

施工管理技士資格で土台を固めたら、次に目指すべきは、デジタル時代におけるより高度な専門性を証明する上位資格です。
  • 技術士: 科学技術分野における最高峰の国家資格であり、特に建設部門の技術士資格は、企業の入札競争力や技術者の待遇を格段に向上させます。施工管理技士としての豊富な実務経験を積み、論理的な思考力や問題解決能力を示すことで取得を目指せます。
  • RCCM(シビルコンサルティングマネージャー): 建設コンサルタント業務における管理技術者や照査技術者としての専門能力を証明する民間資格です。発注者支援業務との親和性が非常に高く、専門分野での高い知識と経験を保証できるため、キャリアアップの中間目標として有効です。
これらの上位資格と、前述したBIM/CIMやICT技術への対応力といったデジタルスキルを組み合わせることで、あなたは代替不可能な「専門技術の参謀」として発注者支援業務の現場で活躍できるでしょう。
キャリアアップへの道を歩く男性

【まとめ】デジタルで武装した技術者が未来を拓く

AI・DX時代における発注者支援業務は、従来の施工管理の経験を最大限に活かしつつ、BIM/CIM、電子納品、そしてデータ連携調整力といったデジタルスキルを融合させることが成功の鍵となります。

発注者支援業務は、公共事業という揺るぎない社会的基盤を支え、景気に左右されにくい安定性と、施工管理と比較して高いワークライフバランス を実現できる魅力的なキャリアパスです。

施工管理技士資格は、このキャリアを築くための強力な土台であり、これにデジタルスキルと上位資格への挑戦意欲を加えることで、あなたは建設業界の未来を牽引する存在となれるでしょう。
この大きな変革期をチャンスと捉え、自身の市場価値を最大限に高めるための行動を今すぐ起こしましょう!

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