施工管理の資格取得順はどう決める?未経験者が知っておくべき戦略的キャリアプラン

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2025-12-02建設情報コラム

施工管理の資格取得順はどう決める?未経験者が知っておくべき戦略的キャリアプラン
施工管理として働くことを決めたものの、「どの資格から取ればいいのか分からない」「自分に合った資格取得のルートは?」と悩んでいませんか?

施工管理技士の資格は7種類あり、それぞれに1級・2級が存在します。
未経験から始める場合、どの順番で取得するかによって、その後のキャリアや年収が大きく変わってくるのです。

この記事では、施工管理の資格取得順を決めるための判断軸と、パターン別のおすすめルートを詳しく解説します。
転職先企業の特徴や、あなた自身のキャリアゴールに合わせた最適な取得戦略が見つかるはずです。

資格取得は、施工管理としてのキャリアを築く上で避けて通れない道です。
しかし、正しい順番で計画的に取得すれば、効率的にスキルアップでき、年収アップや昇進のチャンスも広がります。
これから施工管理の世界に飛び込もうとしているあなたに、最適な資格取得のロードマップをお届けします。
施工管理,資格,順番

施工管理の資格とは?取得順を考える前に知っておくべき基礎知識

施工管理として働くうえで、資格取得は避けて通れない道です。
しかし、「どの資格から取ればいいのか」「そもそもどんな資格があるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、資格取得の順番を考える前に押さえておくべき基礎知識を解説します。
まずは施工管理技士の全体像を理解することで、自分に最適な取得ルートが見えてきます。

まずは未資格で施工管理にチャレンジしてみたいと考えている方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
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施工管理技士は7種類、それぞれ1級・2級がある

施工管理技士は、建設工事の種類に応じて以下の7種類に分かれています。
資格名 対象工事 主な活躍の場
建築施工管理技士 建築工事全般 住宅、マンション、ビル建設
土木施工管理技士 土木工事全般 道路、橋梁、ダム、トンネル
電気工事施工管理技士 電気設備工事 送電設備、照明、配線工事
管工事施工管理技士 配管・空調工事 給排水、空調、ガス配管
造園施工管理技士 造園・緑化工事 公園、庭園、道路緑化
建設機械施工管理技士 建設機械を使用する工事 土木工事、重機を使う現場
電気通信工事施工管理技士 通信設備工事 LAN設置、基地局、通信インフラ
   
それぞれの資格には1級と2級があり、合計14の資格が存在します。1級を取得すると「監理技術者」および「主任技術者」として、2級を取得すると「主任技術者」として認定されるのが大きな違いです。

監理技術者は大規模工事で必須となる役職で、下請契約の総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の現場では必ず配置しなければなりません。
一方、主任技術者はすべての建設工事で配置が義務付けられているため、2級でも十分に現場で活躍できる資格といえます。

未経験でも資格取得は可能?2024年の制度改正で大きく変化

「未経験から施工管理に転職して、本当に資格が取れるのか」という不安を抱えている方に朗報があります。
2024年4月から施工管理技術検定の制度が大きく変わり、未経験者にとって資格取得のハードルが下がりました。

従来は、受験するために一定の実務経験が必要でしたが、現在は以下のように変更されています。
  • 第一次検定:17歳以上であれば実務経験なしで受験可能(1級は19歳以上)
  • 第二次検定:第一次検定合格後、実務経験を積んでから受験
この変更により、未経験で入社してすぐに第一次検定の勉強を始められます。
第一次検定に合格すれば「技士補」という称号が得られ、これも履歴書に書ける立派な資格です。

実務経験を積みながら第二次検定の準備を進めることで、計画的に資格取得を目指せるようになりました。
未経験からでも、入社3〜5年で2級、さらに数年で1級取得というキャリアパスが現実的になったのです。

施工管理の資格取得順を決める3つの判断軸

資格取得の順番を決める際、闇雲に「人気があるから」「簡単そうだから」という理由で選ぶのは得策ではありません。

あなたのキャリアゴール、働く環境、将来の展望を踏まえて戦略的に決めることが重要です。
ここでは、資格取得順を決めるための3つの判断軸をご紹介します。
この判断軸を使えば、自分に最適な取得ルートが見えてくるはずです。

こちらの記事では、施工管理のキャリアアップについて詳しく解説しています。
気になる方は、あわせてチェックしてみましょう。
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【判断軸1】あなたが携わりたい工事の種類で選ぶ

最も基本的な判断軸は、「どんな工事に携わりたいか」です。
転職先の企業がどのような工事を手がけているかによって、優先すべき資格は変わってきます。
希望する仕事内容 おすすめの資格 理由
住宅やビルの建設 建築施工管理技士 最も求人数が多く、汎用性が高い
道路・橋・トンネル建設 土木施工管理技士 公共工事・インフラ整備で必須
ビルの設備工事 管工事施工管理技士 空調・配管の専門性が活かせる
電気設備の施工 電気工事施工管理技士 電気工事業界で高く評価される
通信インフラ整備 電気通信工事施工管理技士 5G・データセンターなど将来性大
公園・緑地の整備 造園施工管理技士 都市緑化で需要が増加中
   
転職先の企業がゼネコンで建築工事を中心に手がけているなら、建築施工管理技士を優先すべきです。
逆に、公共工事を多く受注している企業であれば、土木施工管理技士の方が活躍の場が広がります。

また、設備工事会社であれば管工事や電気工事施工管理技士が重宝されるでしょう。
自分が所属する(または所属予定の)企業の事業内容をよく確認し、そこで最も需要のある資格から取得するのが賢明です。

【判断軸2】将来のキャリアゴールから逆算する

5年後、10年後にどうなっていたいかを考えることも、資格取得順を決める重要な要素になります。
  • 早期に年収アップを目指す:需要が高く、資格手当が厚い建築または土木施工管理技士を優先
  • 独立開業を視野に入れる:複数の資格を計画的に取得し、幅広い工事に対応できる体制を整える
  • 大規模プロジェクトに携わりたい:2級よりも1級取得を早期に目指し、監理技術者を狙う
  • 専門性を極める:1つの分野に特化し、その分野でのエキスパートとして地位を確立する
たとえば、将来的に独立して建設会社を経営したいと考えているなら、建築施工管理技士だけでなく、土木や設備系の資格も取得しておくと仕事の幅が広がります。

一方、特定の分野でスペシャリストとして活躍したいなら、1つの資格で1級まで取得し、その分野での実績を積み上げる方が効果的でしょう。
キャリアゴールを明確にすることで、どの資格をいつ取得すべきかが自然と見えてきます。

【判断軸3】資格の難易度と取得にかかる期間を考慮

資格によって難易度や合格率は異なります。自分の学習時間や仕事の忙しさを考慮して、現実的に取得可能な資格から始めることも大切です。

近年の合格率から見た難易度の目安は以下の通りです。
【2級の難易度ランキング(合格しやすい順)】

1.管工事施工管理技士(第一次:約70%、第二次:約80%)
2.建設機械施工管理技士(第一次:約50%、第二次:約70%)
3.電気工事施工管理技士(第一次:約60%、第二次:約70%)
4.建築施工管理技士(第一次:約40%、第二次:約50%)
5.土木施工管理技士(第一次:約70%、第二次:約40%)

ただし、合格率だけで判断するのは危険です。
自分が日常業務で携わっている工事であれば、実務経験が試験勉強に直結するため、合格率以上に有利になります。

また、仕事の繁忙期と試験時期の関係も考慮しましょう。
施工管理の仕事は現場が忙しい時期と比較的余裕がある時期があります。

試験直前に繁忙期が重なると、勉強時間の確保が難しくなるため、年間スケジュールを見ながら受験時期を調整することも戦略の1つです。

未経験者におすすめの施工管理資格取得順【パターン別】

ここからは、具体的な資格取得のパターンを4つご紹介します。

それぞれのパターンには特徴があり、どれが正解ということはありません。
あなたの状況や目標に合わせて、最適なルートを選んでください。

転職先の企業や自分のキャリアビジョンと照らし合わせながら読み進めていきましょう。

こちらの記事施工管理技士2級の合格率について詳しく解説しています。
これから施工管理技士2級にチャレンジする方は、事前にチェックしましょう。
施工管理,資格,順番

【王道ルート】2級建築施工管理技士→1級建築施工管理技士

最も多くの人が選ぶのが、建築施工管理技士を軸にしたキャリアパスです。

【このルートをおすすめする理由】
  • 求人数が最も多く、転職市場で有利
  • 住宅からビル建築まで幅広い現場で活躍できる
  • 資格手当や昇給の対象になりやすい
  • 将来的に独立開業もしやすい
建築施工管理技士は、ゼネコン、工務店、リフォーム会社など、多様な企業で重宝される資格です。
特に未経験からスタートする場合、まずは需要が安定している建築を選ぶことで、転職やキャリアチェンジのリスクを最小限に抑えられます。

【インフラ志向】2級土木施工管理技士→1級土木施工管理技士

公共工事やインフラ整備に携わりたい方には、土木施工管理技士がおすすめです。

【このルートをおすすめする理由】
  • 公共工事の入札で有利になる
  • 道路、橋梁、ダムなど社会基盤整備に貢献できる
  • ゼネコンや官公庁関連の仕事が多い
  • 長期的に安定した需要がある
土木工事は建築に比べて工期が長く、1つのプロジェクトに深く関わることができます。
また、公共工事が中心となるため、景気の影響を受けにくく、安定性を重視する方に向いています。


特に地方では道路や河川の整備工事が継続的にあり、土木施工管理技士の需要は高いです。
将来的に地元で働きたいと考えている方にとっても、土木は有力な選択肢となるでしょう。

【専門性重視】管工事・電気工事施工管理技士

設備系のスペシャリストを目指すなら、管工事または電気工事施工管理技士から始めるルートがあります。

【このルートをおすすめする理由】
  • ビルメンテナンス業界でも重宝される
  • 建築施工管理技士との組み合わせで市場価値が上がる
  • 技術的な専門性が高く、独立しやすい
  • 設備工事は建築物がある限り需要が続く
管工事施工管理技士は、空調・給排水・ガス配管など、建物の"命"とも言える設備を扱います。
建築物が完成した後も、メンテナンスや改修工事で継続的に仕事があるのが特徴です。

電気工事施工管理技士は、照明・コンセント・受変電設備など、電気に関わる工事全般を管理します。
太陽光発電やEV充電設備など、新しい技術への対応も求められるため、学び続ける意欲がある方に適しています。

これらの資格は、将来的に建築施工管理技士と組み合わせることで、建物全体を総合的に管理できる人材として高く評価されるでしょう。

【将来性狙い】電気通信工事施工管理技士

2019年に新設された最も新しい資格が、電気通信工事施工管理技士です。

【このルートをおすすめする理由】
  • 5G、データセンターなど今後の需要拡大が見込まれる
  • 資格取得者がまだ少なく、希少価値が高い
  • IT・通信業界との接点が多い
  • 先行者利益を得やすい
通信インフラは今後ますます重要性が増す分野です。
リモートワークの普及、IoTの発展、スマートシティの構築など、通信設備の需要は右肩上がりで増えています。

新しい資格であるため、参考書や過去問が少ないというデメリットはありますが、逆に言えば早期に取得することで「電気通信工事のプロ」として市場で差別化できます。
IT業界からの転職者など、通信技術に興味がある方には特におすすめのルートです。

施工管理の資格を効率よく取得するための戦略

資格取得のルートが決まったら、次は「どうやって効率的に合格するか」が重要になります。

仕事をしながら勉強時間を確保するのは簡単ではありませんが、ここで紹介する戦略を実践すれば、無理なく資格取得を目指せます。
特に未経験から始める方は、企業のサポートをうまく活用することが成功の鍵です。

こちらの記事では、施工管理の働き方について詳しく解説しています。
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まずは2級の第一次検定合格を目指す理由

未経験から施工管理の資格取得を目指すなら、まずは2級の第一次検定合格を最初の目標にすることをおすすめします。

【2級第一次検定を優先すべき理由】
  • 実務経験なしで受験できる(2024年制度改正のメリット)
  • 合格すれば「技士補」の称号が得られ、履歴書に記載可能
  • 学習のモチベーション維持につながる
  • 転職活動でもアピールポイントになる
  • 第二次検定の基礎知識が身につく
特に「技士補」という称号は、2024年の制度改正で新たに認められたものです。
法的には主任技術者の補佐として現場に配置できるため、企業にとっても価値のある資格となっています。

入社してすぐに第一次検定の勉強を始め、1〜2年以内に合格することで、「資格取得に意欲的な人材」として社内での評価も高まるでしょう。
また、第一次検定の出題範囲を学ぶことで、現場での理解度も深まり、実務と勉強の相乗効果が生まれます。

複数資格を取得する場合の効率的な順番

将来的に複数の施工管理技士資格を取得したいと考えている方もいるでしょう。
その場合、試験範囲が重複する資格を計画的に受験することで、効率的に合格を目指せます。

【試験範囲が重複しやすい資格の組み合わせ】

  • 建築施工管理技士 ⇔ 土木施工管理技士(施工管理法、安全管理の範囲が共通)
  • 電気工事施工管理技士 ⇔ 電気通信工事施工管理技士(電気の基礎知識が共通)
  • 管工事施工管理技士 ⇔ 建築施工管理技士(建築設備の知識が共通)
たとえば、建築施工管理技士2級を取得した後、その知識を活かして土木施工管理技士2級に挑戦すれば、ゼロから勉強するよりも短期間で合格できる可能性が高まります。

また、試験日程も考慮しましょう。
2級の試験は年2回実施される種目もあるため、前期と後期で異なる資格を受験するという戦略も有効です。
年間スケジュールを確認し、無理のない受験計画を立ててください。

企業の資格取得支援制度を最大限活用する

施工管理の仕事を募集している企業の多くは、資格取得を支援する制度を設けています。
転職活動の際には、この支援制度の充実度も企業選びの重要なポイントです。

【一般的な資格取得支援制度の内容】

  • 受験費用の全額または一部補助
  • 通信講座・専門学校の受講費用補助
  • 合格祝い金(2級:5〜10万円、1級:10〜30万円程度)
  • 資格手当の支給(月5,000〜50,000円)
  • 勉強時間確保のための業務調整
特に「勉強時間確保のための業務調整」は、見落としがちですが非常に重要な要素です。
試験前の1〜2ヶ月間、残業を減らしてもらえたり、休日出勤を免除してもらえたりする企業もあります。

入社前の面接で、「資格取得支援はどのようなものがありますか?」と質問することで、企業の本気度を確認できるでしょう。
また、先輩社員がどのくらいの期間で資格を取得しているかを聞くことで、その企業の環境が資格取得に適しているかを判断する材料になります。

まとめ:施工管理の資格取得順は「あなたのキャリアゴール」で決まる

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施工管理の資格取得順に絶対的な正解はありません。
重要なのは、あなた自身がどんなキャリアを歩みたいのか、5年後・10年後にどうなっていたいのかを明確にすることです。

未経験からスタートする方は、まず2級の第一次検定合格を目標に設定することをおすすめします。
実務経験なしで受験できるこの制度を活用し、早期に「技士補」の称号を得ることで、キャリアの第一歩を踏み出せます。

施工管理技士の資格は一生モノの財産です。
短期的な視点だけでなく、長期的なキャリアプランを描きながら、計画的に取得を進めてください。
資格を取得することで仕事の幅が広がり、より大きなプロジェクトに携われるようになります。

まずは第一歩として、自分に合った資格を見つけるところから始めてみましょう。

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